誰かと性的な接触をして、後から性病の可能性に震えたり、そういえば、あの行為以降、体調が悪いかも、など身体の異常を感じるとものすごく不安になりますね。
性病の中でも特に重篤な結果を生む可能性があるのは、梅毒とHIV感染です。
戦後の混乱した中で流行した梅毒は、ペニシリンの服用などでその後沈静化し、2012年までは年間の感染者数が1000人を超えない病気でした。
数年前までは、梅毒という言葉すらあまり聞かなくなり、すっかり馴染みのない病気になっていましたので、知らない方も多いのではないでしょうか?
小さい頃に近所に住んでいたおばあさんが梅毒で足を切断していたので、私の中では何か恐ろしい病気なんだ、という位置づけでした。
大人達が、あそこはおじいさんが外で遊んでおばあさんにうつしちゃったから…と噂するのをぼんやり聞いた記憶があります。
当時はそれがどういう意味かわからなかったけど、今、同じような状況で日本で再び梅毒が流行しているのを、そして梅毒という病気はどういうものかを、どのくらいの方が知っているでしょうか?
患者数の著増に危機を感じた厚生労働省は、ホームページなどで注意喚起をしています。ヤフーニュースにもたまに取り上げられています。
梅毒の新規患者数は、2013年に1,000人を超え、その後、5年で5倍以上に増え、2018年には7,000人を超えています。
そして2019年も8月時点で4,000人を超えている状態です。
なぜこんなに増えてしまったのでしょうか。
初期症状などを詳しく見ていきましょう。
梅毒とはどんな病気か?

梅毒は、梅毒スピロヘータという細菌に感染することで発症します。
スピロヘータは血液、精液、膣液などに含まれ、それと粘膜や皮膚が接触することでうつります。
つまり、単にコンドームの使用だけでは防ぎがたく、感染者との性的な接触があればうつってしまう怖さがあります。
今、何か疑わしい症状を抱えてこのページを見ている方は不安でいっぱいだと思います。
まずは、いつ性的な接触をしたのかを思い出しましょう。
そして次の項目で症状を照らし合わせてみて下さい。
梅毒は、初期(第1・2期)ならばペニシリン系の薬剤の服用で治すことができます。
しかし、自然治癒はあり得ず、静かに進行するので、梅毒を疑っている方は早めに病院に行って検査を受けましょう。
問題行為から3週間経っていれば、血液検査で感染の有無を調べることができます。
行為後すぐに検査しても陽性になりませんので、心配でもぐっと我慢して3週間経つのを待ちましょう。
採血をして結果が出るのに数日かかる場合が多いです。
ただ、梅毒自体は非常に進行の遅い病気なので、結果待ちの時間で何か影響が出ることはありません。
病院に行くのが恥ずかしい、ということであれば、地域の保健所で匿名・無料で検査を受けることができます。
その際にはついでにHIVの検査も受けましょう。
梅毒に感染していると、粘膜に微小な傷が出来やすく、HIVの感染リスクも倍増します。
さらに、対面での検査が嫌な方は、ネットで検査キットを申し込み、自宅で自分で検査することができます。
有料ですが、誰かの目に触れることなく検査ができます。
ふじメディカルなど、いくつかの会社が販売していますので、検索してみましょう。
梅毒の初期症状から慢性期まで

梅毒の症状は4段階に分かれて進行します。
第一期
問題の行為から3週間程で陰部や口内などの最初の感染部に1cmほどの赤い発疹やしこりが現れ、それが徐々に固くなり、次第に消えていきます。
鼠径部のリンパが腫れることもあります。
ポイントは痛みがないということです。
他の風邪などによるリンパの腫れや、ニキビのような毛根の詰まりによるしこりなら、抑えると痛みがあります。
梅毒の恐ろしさはその静けさにあります。
しこりや腫れ以外の症状がなく、気付きにくいのです。
この間にまた性的な接触をすると、自分が知らず知らずのうちに感染源になってしまいます。
第二期
しこりが消えた後、手のひらや足の裏を中心に全身にバラの花びらのような赤い発疹が現れます。
これが第二期です。
皮膚科に行くと梅毒と気付かれず、見逃される可能性もあります。
また、治療しなくても発疹は次第に消えていくことがあります。
しかし、治ったわけではなく、スピロヘータは体内に潜んでいます。
第三期
進行が遅い、といいましたが、梅毒が治療が困難な時期に突入するのは感染から3〜10年後です。
この時期を第三期といい、ゴム腫というゴムのような硬さの腫瘍が筋肉や骨にでき、見た目にも影響が出ます。
第四期
さらに感染後10年以降の第四期には、その毒性が神経にも及ぶため、様々な合併症を引き起こし、死に至る可能性も出てくるのです。
近年の梅毒の感染経路:流行の背景は?

流行のきっかけは風俗店と考えられています。
海外から梅毒を持った女性が入国し風俗店で勤務、それを利用した男性が感染する、というパターンが多いことがわかっています。
それは感染者の年齢層にも現れています。
女性では20代が多い。
風俗店勤務の女性が含まれます。
男性は20代〜50代に広く分布し、特に30代と40代が多い。
風俗店の利用年代とリンクします。
「性病検査してます」という肩書きの風俗店でも安心はできません。
梅毒検査は感染後3週間まで陽性にはならない。
この3週間の間に多くの性的接触があるとそれだけ多くの人に感染が広がる可能性があります。
さらに、既婚又はパートナーのいる男性が風俗店などで感染した場合、パートナーにもうつしてしまいます。
このパターンで風俗店に関係のない女性が突然感染することがあります。
身に覚えがないのに自覚症状があるときは、パートナーと一緒に検査を受けましょう。
また、出会い系サイトなどで不特定多数の人と関係を持つことはリスクを格段に増加させます。
性的接触はいつでもそれなりのリスクがあることを理解し、本当に信頼のある人とだけ関係を持つことが大切です。
まとめ

梅毒が流行しています。
性的接触があれば、誰にでもリスクはあります。
梅毒は治らない病気ではないので、あらかじめリスクを知っておき、症状に早く気付くことが大切です。
また、自分の責任において一時的な性的接触をしてしまった場合には、自分のためにも、そして大切なパートナーのためにも、性病検査を受けましょう。