鬱の夫の対応については、やはり夫婦仲が鍵かもしれません。初期症状のチェックの奥様が見つけられるケースもあります。
2019年12月23日放送のあさイチで、『夫が「うつ」になったら…』を特集されてました。
世界精神保健日本調査セカンドによると、生涯のうちにうつ病を経験する人は、「およそ18人に1人」とのこと。他人事ではありませんよね。
働き盛りの夫が、「うつ」になれば、家族にも影響が多大ですよね。
番組では夫のうつを経験した奥様を取材し特集されてました。
その奥様からの声として、「病院に行ってもらうにはどうしたらよいのか?」「どんな声がけをすればいいのか?」「子どもに夫のことをどう伝えたらいいのか?」といった悩みを話されてました。
番組では、解決につながるヒントとして、夫のうつを経験した奥様たちの体験談を特集しておりましたので、まとめました。
ご参考ください。
目次
夫が「うつ」かも…妻が抱える悩み・不安

- 病院に行ってくれない…
- どう声をかければよいか…
- 夫の変化を子どもにどう伝えるか…
- 休職したら、家計は大丈夫か…
「今悩んでいる」という女性を取材されてましたが、上記のような不安を悩みとして話されてました。あさイチではこの4つの悩みについて、取材を交えて、経験者の方から解決のヒントを教えてくれました。
これまでは、子供たちもパパのことが大好きでペタペタとくっついて、おなかにのられえても優しいパパでした
ある時、病気のため半月ほど休むことになったとのこと。すると突然会社の役職を降ろされる事態に。
ご主人は、どんどん落ち込んでいって、まるで別人となり、あれだけ優しかったパパでしたが、子どもとまったく話せないぐらいの日も。
奥様は、ご主人がまるで人が変わってしまったかのように感じたとのこと。
「病院でみてもらえないか…」と思ったとのことでした。
でも、「心療内科に行こう」というのは、「あなた、おかしいよ」と言っている感じで、とっても言いづらい…。どう声をかければよいのか、悩みに悩んだとのこと。
子どもや夫が寝てから、「どう、話しかけようか、明日…」と毎晩悩むとのこと。
どういった言葉を選んだらいいのかが分からなくて、スマートフォンで検索してみたり、考え込んでしますとのこと。そうすると奥様ご自身も感情が不安定に…。
一方、子どもも、小さいとはいえ、「パパ、どうしたんだろう?」「なんでだろう?」という、これまでとの違いを察知します。
奥様としては、お子さんにどう伝えたら傷つかず分かってもらえるか本当に難しいことです。
奥様としては、経済的な悩みもでてきます。夫が休職したら家計は大丈夫か…。
本当に、奥様自身が追い詰められ、夜一人になると、心が壊れように、どうすべきか毎晩考え込んでしまうとのこと。
周りの家族が幸せそうに見えてしまって、「なんでうちばっかり、こんな…」という気持ちに正直なってしまう。
あさイチのアンケートによる調査(回答91人)によると、
夫がうつ病になるかもという心配はありますか?という質問に対して、
はい: 69.2%
いいえ: 30.8%
約7割の奥様がご主人がうつ病になるかと心配されている、深刻な問題であることがわかりました。
夫がうつかも…医療にどうつなぐか

ご夫婦と長男・長女の4人家族の方の取材をされておりました。
ご夫婦は共働きで、ご主人は大手企業にお勤め、出張続きで超多忙。奥様は看護師。
ある朝、ご主人に異変が起こります。
サラリーマンでは、毎朝ネクタイを結びますが、普通毎朝のことですから頭で考えなくても勝手に手が動き、ネクタイが結ばれます。
その朝、ご主人は、ネクタイを首にかけた状態から、まったく動けなくなったとのこと。
「どうやるんだったかな」と…。
また、その後しばらくたって、夫が奥様に電話をされて、そのとき奥様は異変を感じられました。
夫からでてきた言葉が、「さみしい、どうしていいか分からない…」と。
奥様は、これはおかしいと思ったとのこと。
ご主人も、今思えば「精神的にまいった時期であった。それがだんだん積み重なって、ある日突然プツンと切れたような感じでした。」とのことを話されてました。
奥様としては、「夫を医療にどうつなぐか」が切実な問題とのことでした。
このご家庭の場合は、
「本人か相談しやすい人とまずつながる」
奥様から夫へは、会社の保健師への相談を提案されました。
学校でいうと保健室みたいな所だから、「まずそういう所に行ったら?」と勧められたとのこと。
夫としても、いきなり「精神科に行って」と言われたら、一瞬ためらうと思うとのことでした。
保健師さんに相談し、保健師さんから精神科に行くように指示をされ、夫しても保健師さんというワンクッションがあったので、精神科へ足を運ばれたとのことでした。
夫を診た精神科先生、櫻井政人先生は、診た瞬間「落ち込みはひどい、自分の気持ちと関係なく涙がでてくる」、そのような状況だったので、少しお休みをしたほうがいいと判断されたとのこと。
奥様としては、「何が起きているかも分からない状態で、私の力ではどうにもなりそうになかったので、話を聞いてくれる人の所に行ったらという感じでした。」とのこと。
慶應義塾大学医学部教授で日本うつ病学会理事長の三村先生からのアドバイス
うつ病に気づくポイントとしては、「朝の行動」に注目すること
毎日考えずに普通にやっていることが、突如できなくなる状況があれば、1つの信号であるようです。
夫がうつかも…ふだんの声かけ、どうしたら?

さきほどのご家庭では、奥様いわく、夫が「ほとんど笑わなくなった」と。「毎日がお葬式なの?」というくらい感じの人と一緒にいる毎日。
このご家庭の場合は、
「どう接したらよいか、夫に決めてもらう」
奥様から夫に「どうしたらいい?」「私の態度はどうしたらいい?」と聞いたところ、夫から「いつもどおりいてほしい」と言われたとのこと。
腫れ物を触るじゃないですけど、「態度を変えられるほうが、自分としては苦しい」と言われ、いつもどおりに接することにしたとのこと。これまでと変わらず普段どおりに会話を心がけられたとのことしでした。
焦らずに夫を待つことを決めた奥様。
ご主人も徐々に回復され、「料理の仕事がしたい」と思い始められました。
相手のリアクションがそのまま見られる、そういう仕事がいいなと思ったとのこと。
奥様としては、経済的なものはどうなんだろうと思ったけども、夫の自分の意思で続けられる仕事をできるほうがいいと二人で相談して、「だったら仕事変えてみる?」みたいな感じで結論になったとのことでした。
その後、ご主人は、勤めていた会社を辞めて、管理栄養士を目指し4年間勉強し、はれて資格をとって、現在は介護老人保健施設で管理栄養士として働かれていました。
いまでは、夫からは、「ケンカできるのもありがたいな。」と。
奥様としても、以前当たり前だったことが、普通にできるのは、出来ない時期があったからこそ、出来るようになるのはありがたい」と述べられておりました。
慶應義塾大学医学部教授で日本うつ病学会理事長の三村先生からのアドバイス
自然体で寄り添う姿勢が重要!
夫がうつかも…子どもにどう伝える?

石田綾さん(仮名)と健司さん(仮名)ご夫婦の取材を紹介されました。
会社の上司とそりがあわず、かなりのストレスを上司から受けておられた夫、そのイライラを家庭にぶつけるようになったとのこと。
奥様曰く、夫は「私たちが楽しそうにしているのが気に障る、『誰のおかげでおまえたちは生きているんだ』と言い出したり、人が変わってしまったような感じ」とのことでした。
当時の奥様の心境は、「(夫は)気持ちが追い詰められていた」と。
何をしても楽しくなくて、無気力で、ずっと一日座っていることもありました。
ご主人は食欲もなく、体重も減り、手足のしびれや不眠となったとのこと。
『朝ごはんを用意していたとき、突然夫が隣に来て、「もうだめだ」と床に座り込んだことがあり、奥様としては、「これは普通ではないな」と感じ、病院でみてもらうことに。
病院では「うつ病」と診断されました。
その後、頭を悩まされたのが、「子どもにどう伝えるか」だったとのこと。
石田家の場合、
「夫のうつ病のことを、子どもに正確に伝える」
奥様もうつ病のことをかなり調べ、勉強されて、お子さんには
「お父さんはうつ病、だれでもなりうる病気」ということをきっちり伝えたとのこと。
そのときのお子さんの反応は、「そうだんだ」と、「お父さんの性格で、自分たちに嫌なことを言っているのではない」ということを理解されたとのことでした。
お子さんからは、父親のために何が出来るかを奥様と一緒に考えてくれるようになったとのこと。
ご主人が不眠のため、スマホゲームに課金しているのをみたときは、「お父さん、やめよう!」と学校に使うお金であったり、大切なお金だから「やめて」って皆でいったとのこと。
奥様からは、
「私だけではダメだったと思うけども、子どもたちも一緒にいったから、夫も改善してくれたと思います。」
子供たちの貴重な学びになったと捉えられてました。
「子どもたちに大人の社会はこんな大変なことがあって、つらい病気にもなるんだということをお父さんをみて、疑似体験できたことで、社会にでて、自分が家庭を持った時、きちんと対応できるのではと、いい経験になったと思ってます。」
夫がうつかも…どうする?お金の悩み

年金・保険など公的保証に詳しいファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが登場され、アドバイスされてました。
医療費に関して
自立支援医療制度というものがあり、医療費3割負担が1割になる場合もある。(条件にもよる)。
自立支援医療制度は、診断書・申請書が必要で、更新は1年毎。
ただし、市町村に住民税納付額が23万5000円未満という条件がある。
まず医療費。通常3割の負担が、1割になる制度が「自立支援医療制度」です。
精神疾患や、障害がある方が対象になる医療費制度で、長期療養になりがちな疾患がある人を支えるために作られたものです。医師から出される診断書を用意し、各自治体の担当窓口で、申請書とともに提出します。納税額に応じて対象者が決まるので、お住まいの自治体にご確認ください。(引用:NHKあさイチHP)
住宅ローンに関して
金融機関に相談してみる。
相談すると、返済期間を延長したり、元本のみの支払いに変更できる場合もあるとのこと。
ただし、一時的な返済額が変わるだけで、住宅ローンの総額は増えるので注意が必要。
次に、住宅ローン。うつ病になって休職し、月々の支払いが難しくなった際
「金融機関に相談してみること」が大事だと言います。融資を受けている金融機関が返済方法の相談に乗ってくれる場合もあり、返済期間を延長し元本のみの支払いにしてくれることもあるからです。休職中の月々の支払を減らすことで、その間に、生活費の見直しなど、対策を練ることができる点もメリットの1つだということです。(引用:NHKあさイチHP)
生活費に関して
就業不能保険、所得補償保険がある。ただし診断書が出たあとだと保険に加入できない。
そして、うつになったときの生活費も気になるところ。その備えとして、「就業不能保険・所得補償保険」と呼ばれる保険があります。この2つの保険は、働けなくなったときに所得を補償するもの。保険料は月々数千円程度で、休業した場合、月5~10万円など設定額に応じた補償が受けられます。ただし、通常の医療保険と同じく、病気にかかってからでは加入ができません。定期的に保険の見直しをするときに、必要かどうか確認したうえで検討してほしいと言います。また、保障額や支払いの条件などは各社異なるので、事前に保険会社に確認が必要です。
(引用:NHKあさイチHP)
夫婦で「うつ」に…どう折り合いをつけるか
漫画家の稲垣みさおさんとご主人の圭さんが取材を受けられてました。
稲垣みさおさんは「夫婦で鬱るんです♥」や「私のウツな熱血ライフ」の作者。
奥様が最初にうつ病になり、その後ご主人もうつ病に。
奥様は性格的に、できることは全部頑張ろうってやりすぎちゃうタイプなので、やれることは全部やって、全部うまくいかない感じ、まさに頑張り過ぎる日々を送られていたとのこと。
稲垣家の場合
「できないことは諦める」
奥様は強迫性障害になり、「台所が気持ち悪い、空気が汚いような気がしてくるし、息が苦しくなる」とのこと。
諦めたことは、「台所での調理」。リビングで調理することにされました。
また諦めたことは、「夫を自分が元気にする」ということ。相手のペースを尊重し見守ることにしたとのこと。
「正しいとそのときは思ってつい言っちゃうけど、違う人間同士ですから、正しいかどうかは確かじゃない。相手を変えられないと分かって、諦めて受け入れたんです。」
できないことを諦める→家族で助け合う
娘さんからは、「無理をすると疲れちゃう感じなので、「無理しないでね」っていうのをメッセージにした」と。
ご主人は、娘さんから「疲れたら休むんじゃ」というメッセージを貰い、改めて癒やされたとのことでした。
奥様からは、「今の状態は完璧じゃないけど、すごくいいと思っているので、いまが続けばいいなと思ってます」とのことです。
慶應義塾大学医学部 三村先生からのアドバイス
あさイチHPには慶應義塾大学医学部教授で日本うつ病学会理事長の三村先生からのアドバイスがでてましたので、参考ください。
精神科にいきなり行きづらい場合、相談しやすいところにまず行ってみるのがよいのではないかと言います。例えば、内科でも、総合診療科でもよいので、かかりつけ医に相談してみると、そこから精神科を紹介してくれる場合もあるとのことです。
ふだんの声かけに関しては、周りの家族は、受け身となって、相手の出方を待つことが大事だと言います。逆にしてはいけないことは、相手に「押しつける」こと。「自分の考え」や「これが正しい」と一般論で言われていることなどの押しつけは避けた方がよいそうです。
子どもへの伝え方としては、基本的には隠すのでなく、どのように伝えるかを考えた方がよいとのこと。その場合、子どもが父親の様子を疑問に思っているかどうかを見極めることが大事です。いちばんの悲劇は、夫を自分の病状を家でも隠し続けないといけない状況に追い込んでしまうこと。うつで居場所がなくなると、本人にとって大きなストレスになると言います。子どもに、「お父さんが悪いのではなく“病気”がそうさせている」と伝えることは大事なポイントだと言います。(引用:NHKあさイチHP)
まとめ
働き盛りの夫が突然うつ病になるのは、家庭にとって本当に深刻な問題です。
しかも、サラリーマンであれば高ストレスな日々を送っているので、誰しもがうつ病に突然なるということです。
このような問題をNHKあさイチで取り上げられていました。
今、この瞬間も悩まれている多くの方がいるのが現実だと思います。
今回取材を受けられた方の話がすこしでも参考になればと思い、番組内容を記事に致しました。