『マチネの終わりに』映画と小説の違いを解説します。
芥川賞作家・平野啓一郎のベストセラー小説『マチネの終わりに』。
映画化して、2019年11月に上映され始めましたが、みなさんは観に行かれましたか?
小説も感動して色々考えさせられました!
実は、映画と原作の小説とはちょっと違いがあるようです。
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目次
マチネの終わりに、映画と小説の違い!
『マチネの終わりに』の映画と小説の大きな違いの部分をまとめました。
年代設定が違う
原作の小説では、2006年からラストが東日本大震災があった2011年ですが、映画では2018年になっていて、それに合わせて【6年間】の始まりも繰り下がりました。
映画では登場していないキャラクターが小説では出てる
原作の小説では、蒔野の友人『武知』が出てきて、蒔野をツアーに誘いましたが、映画では年代設定のためかカットされたものと思われます。
洋子の設定が違う
映画で洋子は、映画監督のイェルコ・ソリッチの『義理の娘』となっていて、毋・信子が洋子を産んでから再婚した設定になっています。
しかし、小説では洋子とソリッチは実の親子です。
また、小説では洋子は当時戦時下にあったイラクに特派員として行なっていて、彼女はそこで心に傷を負っていました。
映画では、フランスの通信社に勤めており、パリの支局で働いています。
蒔野のマネージャー三谷早苗の行動が違う
早苗は蒔野の不調の原因は洋子のせいだと考えます。
同時に彼女もまた蒔野に恋心を寄せていて、映画でも小説でも二人の仲を引き裂くことになります。
小説では、早苗はその事実を洋子に告げず、ただ蒔野に近づいてほしくないといいます。
そして洋子は二人がすれ違ったのは早苗が原因だと悟ります。
しかし映画では、早苗はニューヨークで洋子に会い、ことの真相を明かします。
蒔野にもメールをして過去の告白をしました。
「罪の告白」シーンでの描かれ方が映画と小説では違いが感じられます。
以上が『マチネの終わりに』映画と小説の大きな違いとなります。
これ以外も、細かい違いがあると思いますが、皆さんで違いを探して見るもの、一つの楽しみになるかと思います。
「マチネ」とは?タイトルの意味!
「マチネ」はもともとフランス語で「午前中」。現在では演劇などの世界で「昼の公演」という意味で使われているそうです。
『マチネの終わりに』は、昼公演が終わる午後3時から4時ごろと、人生の後半が始まる40代ごろと重ね合わせてつけられた題名だそうです。
映画マチネの終わりに キャストとあらすじ(ネタバレ)
~出会い・再会・罪・真相・告白・結末~
映画マチネの終わりに キャスト
・蒔野聡史 (映画キャスト‥福山雅治)
主人公で、38歳の有名な天才クラシックギタリスト。彼の父もギタリストであったため、父の夢を背負う形で、幼少期からギターの英才教育を受けていました。
その音色はとても素晴らしく、人々を感動させます。しかし、物語の途中でスランプに陥ってしまいます‥
・小峰洋子 (映画キャスト‥石田ゆり子)
蒔野のギターの音色の大ファンで、蒔野に恋をしてしまう40歳のジャーナリスト。とても頭が良い。ジャーナリスト精神が強く、戦時中のイラクに行き、戦争の事実を報道する役目も果たします。
・リチャード新藤(映画キャスト‥伊勢谷友介)
洋子の婚約者。日系アメリカ人で、経済学者。
・三谷早苗 (映画キャスト‥桜井ユキ)
蒔野のマネージャー。彼をずっと影で支えてきた人物。蒔野を想う気持ちは誰にも負けないものがありました。物語の重要人物。
映画マチネの終わりに あらすじ(ネタバレ)
映画『マチネの終わりに』のあらすじをまとめました。ネタバレがあるのでこれから映画を見に行こうと思われているかたはご注意ください。
出会いと再会
蒔野聡史は、デビュー二十周年の記念コンサートで大成功させます。
しかし、蒔野本人はその不出来に不吉なものを感じていました。
その夜の打ち上げで、洋子との運命的な出会いを果たします。
洋子は蒔野より二歳年上の40歳の記者です。
美しく聡明で、しかも蒔野の大好きな映画『幸福の硬貨』の監督であるイェルコ・ソリッチの娘でした。
蒔野はすぐに洋子に惹かれますが、彼女には婚約者がいました。
出会いの後も、蒔野は不調を感じながらも音楽活動を続け、洋子は取材のためイラクに滞在していました。
イラク滞在中も彼の音楽に勇気付けられましたが、蒔野に抱く感情がファン以上のものであることに気がつきます。
メールのやり取りをしていましたが、帰国後二人は再会します。
二人は、最初はぎこちないものの再会を喜び、蒔野は洋子に結婚をやめてほしいとお願いします。
婚約者のリチャードの子供を妊娠しているかもしれないと、一旦答えを保留しますが、すぐに生理がきます。
洋子は、覚悟を決め蒔野を自宅に呼びます。蒔野が訪れ、洋子が婚約を破棄したことを打ち明けます。そして、二人は結ばれます。
罪
その後も二人は、日本とパリで離れて暮らし、連絡を取り合っていました。
しかし、順風満帆ではありませんでした。
蒔野のマネージャーの三谷早苗は、蒔野の不調の原因は洋子にあると考え、二人の関係を良く思っていませんでした。
もちろん、早苗が蒔野を好きだという感情もあります。
洋子もまた、リチャードとの婚約破棄が停滞していました。
洋子は、戦争下にいたことでPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、蒔野に打ち明けられず苦しんでいました。
そんな中、二人は休暇を合わせ洋子の母親が住む長崎に挨拶に行く計画を立てます。
ところが、日本に到着する日、蒔野の恩師である祖父江誠一が脳出血で病院に搬送され、蒔野も慌てて病院に駆けつけます。
その時、携帯をタクシーに忘れてしまい、早苗がそれを取りに行きます。
早苗は蒔野の携帯を取ると、蒔野になりすまし洋子に別れのメールを作成し、それを送ってしまいます。
その後、故意ではなく蒔野の携帯を水没させて壊してしまいます。
蒔野はそのことを知らず、早苗の携帯から洋子にメールを送りますが、事情を知らない洋子は勘違いし、一人で長崎に向かってしまいます。
そして、誤解が解けないまま洋子はパリに帰国。
二週間後、洋子はリチャードとよりを戻し、結婚したのでした。
真相と告白
あれから二年が経過。
蒔野は審査員などとして活動はしていたものの、もう一年半もの間ギターを弾いていませんでした。
祖父江の孫の手足口病が感染したことも理由の一つですが、一番大きいのは洋子がいなくなったことでした。
しかし、友人の武知からデュオでツアーをしようと誘われ、動きだします。
あの後、蒔野と早苗は結婚し、早苗は自分の罪を告白しないまま、蒔野との偽りの幸せを亨受していました。
一方、洋子も蒔野を最初は思い出して辛くなることもありましたが、今は子供も生まれ、幸せに暮らしていたはずでした。
しかし、リチャードが浮気を告白し、離婚を切り出します。
洋子もそれを受け入れました。
離婚後、夏期休暇で長崎を訪れると、母親の後押しもあり、洋子は蒔野のコンサートに足を運びます。
しかし、そこで会ったのは早苗でした。
早苗は蒔野と結婚し、彼の子供を妊娠していると伝え、蒔野に近づかないでほしいと洋子にお願いします。
そのやりとりで洋子は、メールを打ったのは早苗だと気がつきます。
しかし、今は自分や早苗よりもお腹にいる子供の幸せを優先し、会わずに帰り、ホテルで一人泣くのでした。
ツアー終了後、武知が事故で亡くなったと知らせが届きます。
蒔野はなんとなく自殺だと感づいていました。
早苗は洋子とあって以来、妊娠中の不安定さに加え自責の念に駆られ、不安を募らせていました。そしてついに、洋子がPTSDで苦しんでいたこと、メールの真相を蒔野に告白します。
結末
二人の関係が動いたのは2011年、東日本大震災の年でした。
蒔野と早苗の子供が生まれ、優希(ゆき)と名付けます。震災後、早苗は優希を連れて福岡の実家に帰省しますが、蒔野は東京に残り予定していたコンサートを中止しない決断をします。
ニューヨークでのリサイタルが決まり、ニューヨークに住んでいた洋子は聴きに行きます。
蒔野の奏でる音は前とは違っていましたが、スランプを経て、彼が獲得した音楽は素晴らしいものでした。
第一部が終わり、洋子は早苗の言葉を思い出し、蒔野の邪魔をすべきではないと帰ろうとしましたが、結局自分の席に戻り、第二部が始まります。
リサイタルは、アンコールまで進み、蒔野は英語で、このリサイタルの後、セントラルパークの池のあたりでも散歩するとコメントしました。
それからこのマチネの最後に、特別な演奏を皆さんのためにするといいます。
この時、洋子のことを見て微かに頷きます。
それは、『for you』が観客のためにではなく『あなたのために』と言っているように聞こえます。
蒔野が演奏したのはあの有名映画のテーマ曲『幸福の硬貨』でした。
洋子は涙を流します。蒔野は、第一部で洋子に気づいていました。
リサイタル終了後、蒔野は池に向かいます。そこには‥洋子が待っていました。
洋子は泣き出しそうになりながらも、二人は一歩ずつ距離を縮めます。
二人が出会ったあの夜から五年半もの歳月が流れていました。
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これから映画『マチネの終わりに』を見に行こうと思われてる方は、こちらの記事も参考にされてください。
まとめ
映画と原作の小説は若干違いはありました。
二人のラストのその後も、映画と原作の小説では感じ方が違う気がします。
私は、原作の小説では家族などもいて、お互いの幸せを壊さないように‥でももう二度と途切れないように‥とお互いを思い尊重し合う『最愛の友人』として一生付き合っていくのではないかと考えました。
映画とは違いはありますが、読んでいて胸が熱くなりました。
二人のモデルが実在すると思うと、本当にこんなことあるんだ!と思いながらも素晴らしいものだなぁと余計に感動もしました。
映画では、豪華キャストや二人の素晴らしい演技、美しい街並み、福山さんが奏でるクラシックギターも見どころの一つなので、映画も原作の小説もどちらもおすすめです。
感動して泣いてしまうこと間違いなしです!