ボランティアについてです。定年退職後できるボランティアの種類や『シニア海外ボランティア制度』についても解説します。
ボランティアに興味があっても、始めるきっかけが無い、何から始めたらいいのか分からないなどの理由から、結局自分には何も出来なかったと思った事はありますでしょうか?
もしくは、仕事が忙しく家庭の事情などから出来ないという方もいらっしゃるかもしれません。
記憶にまだ新しい1995年の阪神淡路大震災で、学生・会社員・退職者が活動に参加し、2011年の東日本大震災においては、約200万人の方達がボランティア活動をされていました。
ご自分で活動が出来なくても、メディアでどの様な事をしているのか見た方は多いのではないでしょうか?
ボランティアをする事で(あくまでも私の考えですが、私はボランティアはするものではなく、させて貰うものだと思っています)自分自身にほんの少しですが変化も起きてきます。
社会に貢献していると言う意識が自分の中に生まれてきたり、自分自身の視野が広がったり、普段の生活では出会う事が無かった様な方達との出会いがあったりなど、学びや得る物が多い貴重な体験が出来ると思われます。
実際に内閣府の調査によると、ボランティアによって得られたものとして
- 「充実感・満足感を得た」
- 「ものの見方が変わった・考えが深まった」
- 「多くの人達との交流の場になった」
などの回答が上位にあがっているようです。
ボランティアとは?

まずは、ボランティアについて簡単にまとめます。
1.ボランティアとは
ボランティア(volunteer)の語源は、ラテン語の(voluntus)であり、意味は「自由意志」「自ら進んでやること」「喜んでする」などで、一般的に「個人の自由意志によって、その技能や時間を進んで提供し社会に貢献する事」とされています。
これを見ると、受ける側だけにメリットがある様に見えますが、ボランティアは行う側にとっても大きなメリットがあるものです。
ボランティア活動は、あくまでも自発的に自分で出来る事を自分の意思で周囲と協力しながら無償で行う活動の事で、義務でも強制でもありません。
個人の自由な意思により考え発想し行動するものですが、無償性・継続性と言った用件も求められます。
また、ボランティアと言うと「奉仕」「福祉分野」と言うイメージがありますが、ボランティアは福祉・教育・医療・国際交流・環境・スポーツ・文化・芸術など多様な分野で取り組まれているものです。
ですので、自分自身が気になる事、好きな事、得意分野など、自分の持ち味・強みがある事からスタートする事に大きな意味があると言われています。
しかし、ボランティアに興味を持っても、時間が思うように取れなかったり、経済的な理由などから踏み出す事も出来ない方達も多いかと思われます。
近年、ボランティア団体に加入して参加する方が多いようで、インターネットなどからも情報が手に入りやすくなっていますので、ご自分に合ったグループを見つける事から始めてみても良いかもしれません。
2.ボランティア活動の4原則
これらが、ボランティア活動の4原則です。
- 主体性・自主性 他からの義務・強制ではなく、自分の気持ちから責任を持って取り組むこと
- 社会性・連帯性 自分の為ではなく社会の為、同じ人間として相手を尊重し協力して助け合うこと
- 無償性 活動の対価として利益を求めない事で、人との出会いから得るもの、充実感などを得られる喜びを感じること
- 創造性 自分で、今、誰に何が必要なのか、それに応じて工夫出来、積極的に行動すること
3.ボランティアをする上で気をつける事
ボランティアは「~してあげる」と言う活動ではありませんので、感傷や哀れみの気持ちは禁物とされており、友達の様な視点でお手伝いをすると良いと言われています。
個人のプライバシーに関しても、人との信頼関係を築く上では当たり前の事ですので、活動中に個人のプライバシーを聞いてしまっても秘密は守る様にしましょう。
また、自分一人では難しい事も出てくる場合がありますので、仲間や周囲の方達と相談し合い、力を貸したり貸して貰ったりなど、広い視野を持って取り組むとより良い活動に繋がると言われています。
定年退職後にできるボランティア一覧

下記が定年退職後にできるボランティア一覧となります。
①災害支援ボランティア
被災地への寄付金を募る為のイベント開催や、地域での防災知識の普及活動、復旧作業などがあります。
復旧作業は瓦礫や家財道具の撤去、支援物資の仕分けなどがありますが、力仕事や危険な作業もある為、参加する団体によってはボランティア参加者に応じた作業が割り振られる事もあります。
災害現場では、安全管理や移動手段の確保など事前準備が必要になってきます。
また、各自治体や政府にて災害ボランティアセンターも開設されていますので、きちんと情報を得た上での活動が求められます。
②介護ボランティア
高齢者や障がい者など生活に介護が必要な方を助けるボランティアで、介護系の資格が無くても参加出来る事は沢山あり、老人ホームなど介護施設にて、演奏・ダンス披露などイベントを行ったりサポートしたり、自分の特技を教えたり、訪問活動や話し相手になるなど様々な活動があります。
また、65歳以上の方は介護ボランティアをする事で、自分の介護保険料を軽減出来る制度を導入している自治体もあるようです。
③外国人ボランティア
労働・観光・留学と日本に来た外国人に日本語を教えたり、観光地のガイドをするボランティアです。
④障がい者支援ボランティア
手話を学び交流したり点字に翻訳した本の読書会、朗読などをするボランティアです。
情報社会と言われてる現代ですが、ハンディを持つ方含め全ての人が情報をキャッチ出来る社会を作るきっかけにもなるそうです。
⑤悩み別の交流会ボランティア
共通の悩みを持つ方同士で交流を目的に集まる参加型のボランティアです。
シングルマザーや相談相手のいない母親の育児の悩みなど、ボランティアの果たす役割は自分が一人ではないと気がつくだけでも安心出来る事なので、今後益々増大すると言われています。
また、子育てサロンの運営・絵本の読み聞かせ・学習支援など子供を支援する活動もあります。
現代は出生率の低下により核家族化が進展し人との交流が少なくなっていると言われています。
高齢者と子供達がボランティアを通して交流を行う事は、将来の高齢化を支えるためにも重要であると言われています。
⑥身近な地域で出来るボランティア
ご近所同士の支えあい、地元のお店で買い物をする、地域で行われる行事への参加協力などは、身近な場所で参加出来るボランティアです。
また、地域のボランティアを探したい場合は、お住まいの地域の社会福祉協議会を検索するとボランティア情報が出てきます。
⑦動物ボランティア
野鳥の生態調査・犬や猫の施設訪問・盲導犬の育成などペット好きの方に向けてのボランティアもあります。
⑧生活ボランティア
高齢者や障がい者を対象に、洗濯・布団干し・料理やお菓子作りの指導・支援・簡単な修理などが中心ですが、買い物代行のボランティアもあります。
⑨環境保護ボランティア
ゴミ拾いや環境汚染、近隣の公園の植物環境、森林や川、海などの環境保全などを対象としたボランティアです。
住んでいる地域から離れた森林や海が活動場所であることも多いので、休日にゴミ拾いやイベントを実施するなど社会人も参加しやすくなっているようです。
中には、観光がてら参加する方もいるようです。
⑩美術や芸術の保護ボランティア
美術館の作品説明・運営支援・劇団の興行・絵画指導など芸術に直接触れられる文化的な活動なので、シニアになっても自分が興味を持っている事に参加出来るというメリットがあります。
⑪レクリエーションなどのボランティア
衣類製作・編物・料理・生花・工作など趣味を生かしたレクリエーションや陶器・絵本などの製作・販売支援などは、同じ趣味の方を見つけやすいですし、交流もしやすいと言うメリットがあります。
⑫自分のスキルを活かすボランティア(プロボノ)
プロボノとは、マネジメント・分析・戦略・デザイン・ITシステム・クリエイティブなどプロのスキルを活かしたボランティアの事で、プロボノワーカーとして募集されています。
⑬献血ボランティア
献血や活動への呼びかけなどが出来るボランティアです。
⑭不用品を送るボランティア
自分が使わなくなった物、洋服や靴、子供の為の筆記用具などは途上国において常に募集している所もあります。
捨ててしまう前に誰かに使って貰うと言うのはいかがでしょうか?
その地域に旅行に行かれる時にスーツケースの中に入れて直接寄付出来る所もあります。
⑮募金
自分で働いたお金をユニセフ・緑の羽募金・赤い羽根共同募金・学生支援などに募金して応援するボランティアで、時間が取れない方達にも簡単に出来るものです。
ボランティア活動を探す場合
- 自分が活動出来る場所や時間帯で選ぶ
- 自分の得意分野(技術・経験・趣味など)を活かせる事で選ぶ
- 興味がある分野(福祉・環境保護・教育・文化・スポーツなど)で選ぶ
- 子供・高齢者・外国人など人を対象として選ぶ
などがありますが、どの活動を選んだ場合でも責任を持った行動が必要となりますので、まずは、自分が興味がある事から始めてみるのも良いかと思われます。
自分に合ったボランティアが見つからない・どの様にして探したら良いのか分からない場合は、各市町村が主催しているボランティアの初心者研修会に参加してみるのも良いと思います。
自分に合ったボランティアは「何か」が見つかる手がかりになるかもしれません。
海外ボランティアに応募する際の注意点!

皆様は、定年退職をした後でも参加する事が出来る「シニア海外ボランティア制度」があるのをご存知でしょうか?
国内で研修を受けますが、主に言語や途上国の暮らしで必要となる知識を学び、2年間途上国に派遣され現地の人々と働きながら暮らすものです。
ご自分のやる気さえあればボランティアをするチャンスは、何歳であってもあるものです。
日本で長い間働いてきた事により培った技術や知識を必要としている人達は世界中に沢山いると思われます。
定年退職後に新しい事に挑戦してみたいと思われる方は、シニア海外ボランティア制度に挑戦してみる事を一つの案に入れてみてはいかがでしょうか?
ここでは応募する際の注意点をまとめます。
①発展途上国での活動である点を認識すること。
シニア海外ボランティア制度に応募出来るのは、日本国籍を持っている満40~満69歳までの方です。
ご自分の知識と経験を途上国の人々に教える事により、途上国の経済発展に寄与する事が目的ですので、専門的な知識や技術が必要です。
近年はインターネットなどで世界の情報を知る事が出来ますが、ネット上だけでは分からない様な貧困が途上国にはまだまだあります。
多くの場合、シニア海外ボランティアは健康面を考えて都市部に派遣されると言われていますが、途上国の田舎と比べると生活の不便さはさほど感じる事は無くても、途上国である事は変わりませんので、それ相応の覚悟は必要になってくると思われます。
②訪れた国や地域のルールや価値観を守ること、更に自分の身は自分で守ること。
途上国では日本で想像もつかない事態が起こる事もありますので、個人で渡航するより団体を通して参加した方が安全です。
途上国でのボランティアは、日本のボランティアとは違う点も多くあり、文化・習慣・宗教の違いから、ボランティア支援したつもりが逆効果になるケースも出てきますので、事前知識が必要です。
訪れた国や地域のルールや価値観を守ることは勿論ですが、更に自分の身は自分で守るという、緊張感も持たないとなりません。
また、ボランティアに応募する時は、現地で活動しているボランティア団体が良いと思います。
国の情報を沢山持っていて、日々現地の人達と交流していますので、治安や法律などの情報を知るのも早いです。
現地に事務所を持ち日本人が常駐している団体は、もしトラブルが起きた場合でも日本人が対応してくれます。
③治安が悪いという認識を持つこと
日本に帰国した時に、路上での歩きスマホが多いなと感じるのですが、私が住む国ではありえない行為です。
大使館から在留日本人が強盗に合う被害が多発していると報告されているので、歩きスマホはやめましょうと注意のメールが来るほどです。
ボランティアとして行く国の中には日本とは違い、治安の悪い国も沢山あります。
特に、夜遅くに出歩くなど犯罪に巻き込まれやすい行動は避けた方が良いと思います。交通事情も、日本とは違い信号を守るなどの小さい事でも交通ルールが守られていない国では、車やタクシーなど乗り物へのリスクも忘れてはいけません。
④体調不良時の対応を調べておくこと
海外で特に途上国と呼ばれる地域は、日本とは気温や湿度・食文化が違う所が殆どですので、慣れない環境でストレスを貯めてしまう事もあります。
衛生環境や医療事情は日本とは比較出来ない場所もありますので、健康管理は大切になってきます。
生水・生物には注意する・充分な睡眠をとる・怪我をしないよう肌を守る服装をするなど普段の生活で出来る対策はしっかりとし、体調不良になった時の事を考え事前に調べたり参加する団体に聞いておいたりして、怪我や病気をしたら無理をせずに早めに病院に行く事も大切です。
病院で治療を受けたら、医師の診断書・治療明細書・請求書・領収書などはきちんと書いて貰って下さい。
⑤知らない人の誘いには乗らないこと
海外では素敵な出会いに恵まれる事もありますが、知らない人の誘いには乗らない様にしましょう。
また、仲が良くなって「日本に帰る時にこの荷物を持って行って、友達に渡して欲しい」と頼まれても断って下さい。
荷物の中に違法な物が入っていた場合、アジアの一部の国では所持(私が住む国では最高刑で死刑になる場合もあります)しているだけで大変な事になります。
日本大使館が助けに入る事が出来ないケースもあると覚えておいて欲しいです。
⑥現地でかかる費用を考えること
食費・交通費(タクシーなどを利用する場合)・ビザ更新代など必要なお金は、ボランティア団体に事前に確認しておくと良いと思います。
海外保険に加入していても治療費は現地の病院で支払いが必要になり、帰国後に保険会社へ請求する場合が多いかと思われますので、お金は余裕を持って持参した方が良いと思います。
ですが、現地で銀行口座が開けない場合(私が住む国では永住権所持者のみとなっています)がありますので、この点も事前に確認しておくと良いと思います。
ボランティア活動中の 宿泊先の設備や、日常で使う物も確認が必要です。
途上国はインフラが遅れていますので突然の断水や停電があります。
また、インターネットが使えなくなるなどのトラブルもあります。
途上国でのボランティア活動は、我慢も必要になってきます。
⑦トラブルに合った場合
ボランティア活動中にトラブルに合った場合、現地の団体へ報告を必ずして下さい。
警察署に行き、被害届の受理書を受け取って下さい。
また、大使館や航空会社、カード会社の連絡先などを事前に控えておいたり、パスポートはコピーを取っておくと良いかもしれません。
まとめ

海外でボランティア活動をする事は、新しい経験をしたり感動があったりと良い事も沢山あると思います。
初めて行く国でボランティア活動をする事は不安もあるかと思われます。
海外は、観光で行くのと実際に生活してみるとでは大きな違いがあります。
ボランティア活動をする時は無理をせず、自分が出来るところから始めてみるのが良いかと思われます。